健康長寿・アンチエイジング研究委員会

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コレステロール値に一喜一憂しなくても良い

健康診断の結果で注目しがちな「コレステロール値」

中高年の方はコレステロール値について気にされる方も多いと思います。

コレステロール値が高いと動脈硬化のリスクが高まるなど、健康リスクがあると言われているから当然と言えば当然です。

しかし、このコレステロールについては各方面で論争が起こるなど、まだよくわかっていない部分も多いのです。

そこで本委員会では、これから3回にわたってコレステロールの実情に迫っていきたいと思います。


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コレステロールとは何か

コレステロールとは、人間の血液中や、脳、内臓、筋肉など全身に広く分布している脂肪に似た物質のことです。

コレステロールが足りなくなると体内で合成されるようになっており、血液中に送り出され、最終的には栄養素として消費されていきます。

コレステロールは、人間が生きていく上で必要な栄養素なのです。


LDLやHDLとは何のこと?

健康診断では、コレステロールをLDLやHDLと区別して表示されることが多いですが、これはコレステロールを細分化して測定したものになります。

LDLは肝臓からコレステロールを身体の各組織に運ぶ大切な役割を担っています。

一方HDLは各組織から肝臓にコレステロールを運ぶ役割を担っています。

基本的には「行き」と「帰り」という機能の違いでしかないのです。


「悪玉コレステロール」と呼ばれるのはLDL

このうち、「悪玉コレステロール」と言われるのはLDLの方ですが、過剰なLDLは血管の壁の溜まってしまう特性を持っています。

その結果、動脈硬化症を引き起こすリスクがあるとのことなのですが、その根拠には数多くの疑問が投げかけられています。


なぜコレステロールは悪物なのか

「悪玉」という枕詞がつくように、一般的に「コレステロールは高くない方が良い」と言われています。

マイナスのイメージで語られることが多いですが、それはなぜでしょうか。

前述の通り動脈硬化のリスクが高くなるといわれてはいるものの、そもそもの根拠は何なのでしょうか。

それは今から100年以上前まで遡ります。


ロシアでのウサギを使った実験

1913年、コレステロールの影響を調べるため、ロシアでウサギを使った実験が行われました。

コレステロール含有量が多い卵を大量に食べさせた結果、血中コレステロールが増加し、動脈硬化が起こったのです。

そのようなことから研究結果を発表する際には「コレステロール動脈硬化の原因」となり、コレステロールが悪者にされてしまったのです。


ロシアでの実験結果は疑問視されている

実はこの研究結果について、専門家たちから多くの疑問が投げかけられています。

一つ目の疑問としては、そもそも、ウサギは草食動物であり、動物性の脂肪を摂取すればコレステロールが増加するのは当然であること。

二つ目は、人間は雑食性であり、コレステロールを多く含むものを摂取しても調整機能によりコレステロール値は一定に保たれることです。


人のコレステロールはどうやって自然調整されるのか

人はコレステロールの70%を肝臓などで合成します。

残りの30%を食事から摂取するのですが、人がコレステロールが高い食品を多量に摂取すると、肝臓などで合成するコレステロールが自動的に少なくなる仕組みになっています。

余分なコレステロールは体から排出され、血液のコレステロール濃度は一定に保たれるようになっているのです。


アメリカの栄養学者・へグステッドの主張

ウサギの実験以外にも、コレステロールが悪者となった理由があります。

ハーバード大の教授などを務めたこともあるアメリカの著名な栄養学者、へグステッド氏の主張です。

へグステッドは「食品中のコレステロールが100ミリグラム増加すると、血液中のコレステロールが6ミリグラム/デシリットル上がる」という研究結果を「へグステッドの式」として提唱しました。

へグステッドはWHO(世界保健機関)にも助言を行うほどの大物学者。この「へグステッドの式」は各国で採用されたのです。

その後、この式が成り立たないことが判明しました。

コレステロール値はへグステッド氏が想定したよりも個人差が大きいことがわかったのです。

しかし、気づいたときには、時すでに遅しで、世界各国でコレステロールが悪者になった後でした。

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コレステロール値について絶賛、論争中!

そんなこんなで、以前は、厚生労働省コレステロールを取りすぎないようにすすめていましたが、前述のように懐疑的な論調が強くなったため、現在はコレステロールの摂取基準を廃止しています。

健康診断や人間ドックでは総コレステロールの基準値を血液1デシリットル中に140〜199ミリグラムと設定しています。

しかし、男女差や年代差によって数値が大きく変わってくることがわかってきたため、まさにいま専門家たちが基準値の検討を続けている最中なのです。

コレステロール値に一喜一憂する人も多いかとは思いますが、実はその一喜一憂の判断基準も今後変わってくることが想定されているというわけです。


まとめ

今回はコレステロールの「悪者にされた歴史」についてみてきました。

本委員会の見解は、以下の通りです。

コレステロールは悪者にされてきたが、そもそもの根拠はほとんど覆されている。

正解が定まっていないのだから、健康診断のコレステロール値は相当な異常値でない限りは一喜一憂する必要はない。

以上、参考になれば幸いです。