健康長寿・アンチエイジング研究委員会

各界の専門家たちが「健康長寿」「アンチエイジング」に役立つ情報を提供します

健康法を継続するためには「仕掛け」が必要

皆さんは、健康長寿を目指して、運動や食事、生活習慣の改善などに取り組まれたことはありますか?

おそらく、多くの方々は、一度は何かの健康法を試したことがあるのではないでしょうか。

では、実践した健康法は今も続いていますか?

一度始めたことを続けるのって、なかなか難しいですよね。

自分の体に鞭打つ健康法であればなおさらですよね。。。

今回は健康法を「継続させるコツ」を紹介していきたいと思います。

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健康法が長続きしない原因

そもそも、なぜ、新たな取組みは継続しないのでしょうか?

それは人類が元来持っている本能が影響しています。

実は、人間は「変化よりも現状維持を好む」習性を持っており、習慣などはなかなか変えられない生き物なのです。

心理学の世界では「現状維持バイアス」という言葉で示されますが、人間は変化によって得られる可能性がある「リターン、メリット」よりも、それにより失う可能性のある「リスク、デメリット」に対して、過剰に反応してしまう傾向があるのです。

だから、新たに何か始めるときには、体がマイナスに反応しまうのは当然のことなのです。


継続しない典型的パターン

健康法を継続できないケースでもっとも多いのは「健康法を儀式にしている」パターンでしょう。

完璧主義者タイプに多く見られますが 、決まった時間に決まった内容で実践することを心がけ、健康法の「形」を重視してしまうパターンです。

「やるからにはきちんとやりたい」という思いと「効果を最大化したい」という想いなどが重なって、健康法が大掛かりなものとなってしまうのです。

そして、いつの間にか億劫になってしまいます。


必然性がないと続かない

では、億劫になって続かないという現象を阻止するためにはどうしたらいいのでしょうか。

最初に述べたように、人間の体は「前例主義」でできているのですが、例外もあるのです。

それは「必然性があれば人間は動く」というものです。

語学学習を例にとるとわかりやすいと思います。

日本国内で10年以上も勉強しても身に付かなかった外国語であっても、外国に一人でポツンと放り込まれたらすぐに話せるようになるというケースを聞いたことがありませんか?

それは「話さなくては生きていけない」という必然性があるからなのです。

そこで、本委員会でも健康法を継続するために「必然性」に着目してみたいと思います。


「仕掛学」を使おう

「必然性」といっても、義務感や強制感が芽生えてしまえば長続きしません。

そこで今回、紹介したいのが「仕掛学」です。

「仕掛学」は比較的新しい学問で、大阪大学松村真宏准教授が開拓した分野です。

松村先生は著書「仕掛学」で次のように説明しています。

「運動不足や塩分の多い食べ物が体に良くないことを知らない人はいないだろう。しかし運動しなくても塩分を摂取してもすぐに体に悪影響が出るわけではないので、頭では理解していても楽をしたいとか食べたいといった目先の欲求にはなかなか勝てない。
このとき『したほうが良い』と直接伝えても効果がないことは明らかなので、『ついしたくなる』ように間接的に伝えて結果的に問題を解決することを狙うのが仕掛けによるアプローチである」

なかなかイメージがわきにくいかもしれませんので、以下、仕掛けを使った実例をいくつか紹介していきます。



「仕掛」の実例

下の写真は男性にはおなじみの「小便器の的」です。

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設置者は「トイレは綺麗に使ってください」という張り紙をせずに、便器に「的のシール」を貼ることで、使用者が綺麗に使うことを仕掛けているのです。

男性なら経験があると思いますが、このように的があれば、なぜか狙ってみたくなるものです。

そんな人の習性をうまく利用して、結果的に本来意図した結果へ結びつけるのが「仕掛け」なのです。

その他の例としては、ゴミ箱の上部にバスケットゴールを設置したら、周囲のポイ捨てが激減したケースなどもあります。

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【出典】http://www.topito.com/top-innovations-mobilier-urbain-need-now

また、最近、新聞やテレビで話題となった「犬のふんが放置されていた場所にチョークで印をつける」という試みも仕掛けの一種です。
(これにより飼い主が犬の糞を放置するケースが激減したそうです)

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【出典】小平市ホームページhttps://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/060/060176.html



健康法への応用ケース

上記の例は「トイレを綺麗に使う」「ポイ捨てをなくす」など特定の行為を制限する例ですが、新たな行動を誘発するような「仕掛け」はどのようなものがあるでしょうか。

その一つの例として、仕掛学の提唱者、松村先生は「ホームベーカリを活用した早起きの仕掛け」を実際に自分に対して行なっているとのことです。

やっていることは、

寝る前にホームベーカリーに材料を入れ、予約タイマーをセット。

ただこれだけらしいです。

この仕掛けがどのような効果を生むかというと、朝の指定した時間が焼き上がるのは当然のことですが、それ以外の効果について、

「とてもいい匂いがするので心地よく目覚められる」
「パンは焼きあがるとすぐに取り出さないと縮んでしまうので、眠くてもがんばって起きなければと奮い立たせてくれる」

このように、少しの工夫を行うだけで、二重・三重のメリットが得られるのが、松村先生が提唱する「仕掛け」の特徴です。


自分に合った仕掛けを探そう

重要なのは自分に合った仕掛けを探して、実践してみることです。

そこで、まずは「自分が好きなもの」を連想して、その内容と組み合わせる仕掛けを考えてみてはいかがでしょうか。

例えば、パン好きの方は上記のホームベーカリーの他に、お気に入りのパン屋さんを自身の通勤ルートに徒歩で組み込んで、運動量を自然と増やしていくという「仕掛け」も有効ではないでしょうか。

運動するのが目的ではなく「美味しいパンを食べることを目的に行動していると、自然と運動量が増えている」という状況を作り出すことが、まさに「仕掛け」なのです。

ですので、自分に合った新たな仕掛けを考える際は、

「自分の好きなこと」と「自分が新たにチャレンジしてみたいこと」

を組み合わせるのが鉄則といえます。


「仕掛け」の注意点

自分に合った仕掛けを見つけることができた場合の効果は抜群ですが、注意点は「飽きる」危険性があることです。

仕掛けがうまく作用しているうちはいいのですが、自分で「飽きてしまった」と感じるようなことがあれば、新たな仕掛けを考え直していく必要があるでしょう。
(「考える」という行為は、脳への刺激の観点からも有用ですので、健康長寿にもつながります。これもまた広義の「仕掛け」の一つと考えてもいいかもしれません)


まとめ

今回は、できるだけ健康法を継続させるために「仕掛け」という考え方を紹介しました。

ただ、健康法を継続させるためには「仕掛け」が必ず必要かというと、そうではありませんが、今回の記事でお伝えしたいのは、以下の見解です。

・健康法を無理なく継続していくためには「意志」や「根性」に頼ると失敗する

・健康法を継続するための「ひと工夫」必要と認識する

以上、参考になれば幸いです。