健康長寿・アンチエイジング研究委員会

各界の専門家たちが「健康長寿」「アンチエイジング」に役立つ情報を提供します

ペットと同居する子どもは病気になりにくい

今回は、犬や猫などのペットと人間の健康維持の関係性について洞察していきます。

「赤ちゃんとペットが同居するのは衛生面で良くない」という考え方も良く聞く一方で「子どもの間に雑菌と触れることで強い体が作られる」という考え方を聞くこともあります。

本当のところはいったいどうなのでしょうか。

海外の調査結果などエビデンスを示した上で、本委員会としての見解を紹介していきます。

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なぜ判断が分かれるのか

ペットと赤ちゃんの同居の是非について判断が分かれる理由は、「獣医」としての意見と、「(人間を診察する)医師」としての意見の両方があるからだと言われています。

まず、獣医としての意見は「野生の動物を除いて、家庭内で人間とともに生活している犬猫などは基本的に変な菌は持っていない」という立場が多くなります。

一方、人間を診察する医師の立場からすると「動物は全般的にどんな菌を持っているのかわからない」と考える傾向にあります。

これは各自の専門分野の立場を背景にしたポジショントークでありますが、いったいどちらの方が真実に近いのでしょうか。


スウェーデンの調査結果

動物と人間の共存に関して、スウェーデンで大規模の調査が行われており、この結果がとても参考になりますので、紹介させていただきます。

ウプサラ大学のトーブ・ファル教授らは、65万人を対象として、犬を飼っている家庭とそうでない家庭について、その違いを調査しました。

その結果、犬を飼っていた家庭で幼少期を過ごした子どもが喘息になるリスクは、犬を飼っていなかった家庭の子どもより低いことが分かったのです。

研究を主導したファル教授らは「幼少期にある程度の塵やホコリに接触することは、アレルギーの抑制効果を持つ」と指摘しました。


ドイツでの調査結果

ドイツの研究グループは、南ドイツの農家と非農家の子どもの家庭のホコリを集め、「エンドトキシン」と呼ばれる細菌成分の量を調べた上で、子どもたちの健康状態を比較しました。

するとエンドトキシンが多い農家の子どもほど花粉症とぜんそくを発症していないことが分かったのです。

この内容は2008年11月23日NHKスペシャル「病の起源 第6集 アレルギー ~2億年目の免疫異変~」でも紹介されましたが、同番組では「農家のエンドトキシンの最大の発生源は家畜の糞であり、糞に触れることのない清潔な社会がアレルギーを生んだとも言える。」と結論づけていました。

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アメリカでの調査結果

アメリカでもペットと人間の共生関係について調査した結果があります。

コロラド大学ボルダー校の研究によると、同じ空間で生活をする人間と犬は、体にすみつく常在菌が似てくる可能性が示唆される研究結果が得られたそうです。

この事実が意味することは、ペットと共生している人の免疫力の強くなる傾向があるということです。

これら海外の研究結果を勘案すると、ペットとの共生が健康に資する側面は間違いなくありそうです。


なぜ免疫力が強くなるのか

でも、なぜペットとの共生により健康が維持されるのでしょうか。

その理由は「細菌」で説明できます。

人の体には100兆個以上の細菌がすみついており、その中には人間にとって害となるばい菌だけでなく善玉菌など様々なものがあります。

実は、体内にばい菌が完全にゼロになることもは良くないことであり、体内の細菌は良いものや悪いものが互いに牽制しあったり助け合ったりしながら病原菌の侵入を防ぎ、健康を維持できるようになっているのです。

その理論で考えると、ペットが持つ特有の「菌」が、人間の体内に入ることで、免疫力を高める効果が期待できるというわけです。

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ペットの衛生管理には注意

本委員会の見解としては、「ペットとの共生はある程度人間の体を強くする」という立場です。

しかし一方で、ペット飼育の注意点もあります。

それはペットの衛生・健康管理が十分になされないと本末転倒になるということです。

毛の掃除やトイレの始末などがきちんとされていないと、人間が本来持っていない菌が強力に増殖し、人間の健康を害する可能性があることは間違いありません。 (人間を診察する医師はまさにその事態を心配しているのですが…)

上に書いた本委員会の見解は、ペットのことを「大事な家族の一員」として、きちんと衛生面に配慮して飼育するという前提があることをご理解いただければと思います。


まとめ

改めてではありますが、本委員会の見解は以下の通りです。

・ペット(野生動物を除く)と人間が共生することは免疫力アップが期待できる

・ただし、ペットの衛生管理と健康管理がしっかりなされない場合は逆効果になる場合があるため要注意

以上、参考になれば幸いです。