健康長寿・アンチエイジング研究委員会

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「ステロイド」バッシングに物申す

ステロイド剤」と聞いて、皆さんはどういうイメージを持ちますか?

多くの人は良いイメージは持っていないのではないでしょうか。

そう思われてしまう原因としては、これまで医療界でステロイド剤が適切に使用されてこなかったことがあるかと思われますが、「ステロイド」の功罪について読み解くことで、読者の皆さんが冷静に判断できるヒントをお示しできればと思います。

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ステロイド」や「ステロイド剤」とは

ステロイド」とは、人間の体のなかの副腎皮質という器管から分泌されるホルモンのことです。ちなみに、このホルモンの原料は「コレステロール」です。

そして、ステロイドホルモンを薬にしたものが「ステロイド剤」になります。 ステロイド剤を使用すると、体の中の炎症を抑制したり、体の免疫力を抑えたりする効果があり、医療現場では頻繁に使われています。

湿疹などの際に使用する外用薬だけでなく、脳神経外科では脳に水がたまる「脳浮腫」、呼吸器内科では喘息発作の予防として吸引ステロイドが使われるなど、本当に幅広く使われている薬なのです。


ステロイドの副作用と「ステロイド・バッシング」

ステロイド剤は副作用も多く「注意が必要な薬」であることは間違いない事実として存在します。

ステロイドの副作用として言われているものとしては、皮膚の萎縮すること、皮膚が薄くなること、皮膚の色が赤み(黒ずみ)を帯びること、多毛になる、などが挙げられます。

また、水虫が悪化することや、顔が腫れる「ムーンフェイス」、感染症にかかりやすくなる、骨密度が低下するなどの報告もあります。

副作用が生じやすい理由については、ステロイドホルモンは体内でも生成されており、人工的なステロイドを長期間投与することで生成機能が低下することが言われています。

そのようなことから、昨今においてはメディアで「依存性の高い薬である」という主張がなされ、猛烈なステロイドバッシングを受けています。

その結果、ステロイド剤の処方を控えるというような状況も発生するほどになっています。

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スポーツ界で使われる魔の薬「ステロイド

ステロイド・バッシングの大きな原因の一つとして、スポーツ報道の影響もあるかと思います。

ステロイドには筋肉増強作用があるためドーピングの一種としてプロスポーツの裏側で重宝されてきました。

筋肉を新たに作り出す作用があるということは、筋肉組織への血流を良くすることと同義であり、筋肉疲労を速やかに回復させ、痛みに対する耐性も強化します。

過去、アメリカの大リーグにおいてホームラン記録競争が話題となりましたが、その裏では「ステロイド」による筋肉増強合戦が行われていたことは有名な話です。

ステロイドには負の側面がつきまとってしまうのは、その優れた「効果」があるからとおも言えます。


ステロイド剤を毛嫌いするべきではない

ドーピングの場面のみならず、医療現場においてもステロイド剤は「よく効く薬」として知られています。

特に虫刺されや湿疹などの場合、痒くて掻いてしまうと症状が悪化するために炎症を早めに抑え込むのが治療の鉄則ですが、その場合においてステロイド剤が有効です。

短期間の投与で済む場合においては、ステロイドを使用した方が良いケースが多く、何でもかんでも「ステロイドは嫌だ」と拒絶することは得策ではありません。

本委員会として、過度なステロイド・バッシングには疑問を呈するとともに、必要な場面においてはステロイドの投与を受けることを推奨します。


ポイントは「強弱」と「投与期間」

そうはいっても、いざステロイド剤が投与される場面においては、不安になることも多いかと思います。

本委員会のメンバーの中にも、「ステロイド」というフレーズを聞いただけで、薬で身を滅ぼした有名スポーツ選手が思い起こされる、と話す人がいます。

それほど報道によるマイナスイメージは強烈なのでしょう。

そこで、本委員会としておススメしたいのが、処方時に「医師への確認」を行うことです。

ステロイド剤には、作用の弱いものから強いものまで何十種類もありますので、医師に対して「ステロイド剤の種類」を聴いてみてはいかがでしょうか。

また、ステロイド剤の適切使用によいて重要な要素は「投与期間」です。ステロイド剤はよく効く薬であるからこそ、長期間使う薬ではなく、短期集中で投与すべき薬なのです。

したがって、処方を受ける際に「投与計画(期間)」についてしっかり確認すれば、ステロイドの副作用リスクをさらに下げることができるでしょう。

ステロイド・バッシングの中、医師としてもステロイド剤の処方は慎重になっていますので、患者の問いかけには丁寧に答えるはずです。 (もし、ぞんざいな扱いを受けた場合は、病院を変えた方がいいでしょう)



まとめ

今回はマイナスイメージが強い「ステロイド剤」についてみてきました。 本委員会の見解は以下の通りです。

ステロイド剤は副作用の強い薬ではあるが、問答無用に使用を拒絶するのは得策ではない

ステロイド剤の処方を受ける際は、「ステロイド剤の種類(強弱)」と「投与計画・期間」についてきちんと確認すること

以上、参考になれば幸いです。