健康長寿・アンチエイジング研究委員会

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運動が苦手な人は「運動」しなくても良い

健康長寿のためには適度な運動が必要であるとされており、本委員会の他の記事でも何かしらの運動を推奨しています。 しかし、世の中には運動が苦手な人が存在し、そのような人たちにまで「運動をしなさい」と言っていいのかは議論の余地があると思っています。 今回は「運動が苦手な人」へ向けたソリューションを提供していきたいと思います。

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運動が苦手な人の特徴

「運動が苦手な人」の特徴は、なぜ苦手になったのかを考えていくとわかりやすいでしょう。

・いわゆる「運動神経」が悪く、子供の頃の体育の授業などでいい思い出がない人。
・面倒くさがりの性格をもつ人。
・肥満や特定の傷病など個人特有の健康状態により運動をしにくい環境にある人。


他にも理由はありかもしれませんが、多くの場合は上記のいずれか、もしくは複数に該当するのではないでしょうか。 これらの理由を、簡単な言葉で言い換えると「運動したくても運動できないから」ということもできます。 もちろん自分の意思が強く、体に鞭打って運動を強行することもできるでしょうが、大多数のひとは「運動は必要」と思っていながらも、運動ができていないのが現状だと思います。


無理に運動をやろうとするリスク

そのような状況の人々が、重い腰を上げて(無理に)運動をやろうとすると様々なリスクが生じます。 例えば、「運動しなければ」という強い意思がオーバーワークを発生させ、逆に体を悪くしてしまうケースです。 面倒くさがり屋の自分を脱するために、わざわざ高い会費を必要とするジムに通い、過度な筋肉痛を発生させてしまい、結果的に数回行っただけで終わるケースも数多く聞きます。


ストレッチだけでも筋肉を痛めるリスクがある

運動だけでなく、運動前の「ストレッチ」でさえも、運動が苦手な人がやるとリスクがあります。 ストレッチに力が入るあまり、反動をつけてストレッチを行う人ががいますが、この行為は実は危険なのです。 反動をつけると筋肉が反射的に縮もうする「伸張反射」が自然と起こりますが、その条件反射に抵抗して無理に筋肉を伸ばすことで、筋肉を痛めてしまうのです。

ですので、本委員会としては、運動が苦手な人にはあえて「運動はオススメしない」というスタンスです。


運動と言わない程度に「体を動かす」

では、運動をやらずに何をしたらいいのか。 それは「運動」とは言えない程度に体を動かすことです。 大事なのは「運動が苦手でもできること」「苦痛に思わない程度の動きであること」です。 その条件を満たす行為として、一番わかりやすいのは「ラジオ体操」でしょう。


ラジオ体操は侮れない

ラジオ体操は、日本人であれば学校や地域などで子供の頃から慣れ親しんだ手軽な体操です。 腕を回したり、跳んだり、上半身を反らしたり、身体を前後左右に曲げたりするなど多種多様な動きが含まれる一方で、体への負担は強くありません。 本委員会が運動が苦手な人に推奨するのは、まさにこの程度の身体活動なのです。

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ラジオ体操も苦手な人は…

なかにはラジオ体操でさえも苦手という人もいるかもしれません。 そのような人は、もっと活動のレベルを下げてさらに気楽に考えましょう。 「毎日の生活行動」さえきちんと行えればよしとするのです。 たいていの人は朝起きた時に大きく伸びをすると思いますが、この行為は体の筋肉を覚醒する役割を持っています。 それと同時に、筋肉の柔軟性を取り戻す役目もあるのです。 ですので、朝の伸びをするとき、少しだけ長時間、しっかりと伸びをすれば良いという意識を持つだけで違うのです。 また、最近の研究では、貧乏ゆすりでさえも、股関節の軟骨強化に極めて有効であるという真面目な研究結果が報告されるなど、生活の中での何気ない行為の健康効果が注目されています。

そんなことでは運動量が足りないという人も多いと思います。 確かにかつての運動生理学では「20分以上継続して運動を続けないと志望の燃焼効果はでない」などと言われることも多く、まとまった運動でないと健康効果は薄いと論じる傾向がありました。 しかし、最近の運動生理学では「小さな運動も積み重ねで一定量に達すれば、効果が生じる」という見解が示されるようになってきています。 昔は「やるかやらないか」のオールorナッシングの考え方だったものが、今では足し算による「積み重ね」という考え方に変わってきているのです。 そういう観点で言えば、ごくわずかな運動量であっても毎日の積み重ねで、結果的に健康長寿繋げていくこともできるのです。


ごくわずかな運動でも老化度が変わる

最後に、本委員会の見解を後押しする医師のコメントを紹介しておきましょう。 過去に日本テレビで20年に渡って放映されていた「午後は○○おもいっきりテレビ」にホームドクターとして出演されていた松原英太先生の言葉です。 松原先生は、著書『最強の長生き』で次のように述べられています。

「私の診療室では、専門の指導者を呼んで、ごくごく簡単な健康体操を、一週一回一時間余り行なっている。長い高年齢者では三〇年間を越えるだろうか。『ごくごく簡単な健康体操』でも、実行と継続のあるか否かで、老化度が想像以上に大きく、変わってきたことを知ったのである。」


まとめ

今回は運動が苦手な人に向けたソリューションを考えてきました。 本委員会の見解は以下の通りです。

運動が苦手な人は、運動したくても運動できないのだから、無理に「運動」をする必要はない。

簡単な体操(ラジオ体操など)や、さらには起床時の伸びなど「日常の生活行動」の積み重ねでも健康長寿に効果があると考えて良い (運動量ではなく、運動の積み重ねを意識すること)

以上、参考になれば幸いです。