健康長寿・アンチエイジング研究委員会

各界の専門家たちが「健康長寿」「アンチエイジング」に役立つ情報を提供します

規模で病院を選ぶのは時代遅れ

みなさんは診察してもらう病院を選ぶ時、どのような基準で選んでいますか。 「なんとなく大きな病院のほうが安心」という思いから、大病院を受診する方が多いのではないでしょうか。 今回は医療費負担の問題も含め、規模で病院を選ぶことのリスクについて考えていきます。

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大病院人気は国民皆保険制度のせい?

日本では、各自が持っている「健康保険証」を見せれば、町の診療所から高度な機能を備えた大病院、大学病院まで、日本全国どの医療機関でも、自由に医療サービスを受けることができます。 このような恵まれた制度のもとでは「万が一のため設備の整った大きなところで見てもらいたい」「大きい病院の方が優秀な医者が多い」と考えにより、大病院に人気が集中するようになってしまっています。 その結果、風邪などの軽い病気や軽傷で大病院にかかる人が少なからず発生し、大病院の医師の過労の問題、大病院のキャパシティ不足の問題が顕在化しています。


大病院の「紹介状なし」は特別料金がかかる

そのような事態に対して、国も動いています。 2015年5月に「医療保険制度改革法」が成立し、大病院は地域のクリニックと連携し、機能分化を進めることが義務付けられました。 機能を大病院と町医者で分けることで、効率的な医療を提供しようという目論見です。

そして、2016年4月からは紹介状なしで大病院(特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院)を受診すると、医療費の自己負担分に加えて、5000円以上の特別料金が徴収されるようなりました。さらに、2018年4月に行われた「診療報酬改定」により特別料金がかかる病院の範囲が広げられ、大病院での診療にかかるコストは増加傾向です。 この政策の意図は、大病院のコストを上げることにより「街の診療所で済む病気・怪我は大病院に行くのはやめましょう」ということです。


これまでが異常だった・・・

大病院に特別料金がかかってしまう制度に対して一部では「医療サービスの選択肢を狭める」という批判がありましたが、そもそもこれまでが異常だったと考えるのが妥当でしょう。 海外に目を向けてみると、日本のフリーアクセス型の医療制度を持っている国はほぼ皆無です。 諸外国では、医療サービスの充実度に応じて支払う金額が異なっており、自分に必要な診察のレベルによって使い分けているのです。

その結果、各病院・診療所の機能がきっちりわかれて、国全体として支払う「コスト」を軽減させることにつながっています。 日本の場合、病院で患者が支払う金銭は少ないですが、その分、莫大な税金が投入されており、トータルで考えてみると海外のやり方の方がスマートかと思います。 (日本が世界に誇る「国民皆保険制度」が維持されることが大前提でしょうが)

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「大学病院」の欠点

大病院の中でも「大学病院」で診てもらうことにこだわる方も多いでしょう。 そのような方たちは大学病院の診察ハードルが上がったことに対して失望している人も少なくないと思いますが、大病院には欠点もあります。

大学病院の主目的は「教育研究」であり、診察はそれに付随するものでしかないことです。 言い換えると、患者を診るのは「ついで」と言っても過言ではありません。

確かに、施設や医療機器などハード面では整っていますが、ソフト面ではリスクもあります。 美容室や理容室では見習いに切ってもらうと料金が安くなったりしますが、大学病院の場合は研修医に診てもらうからといって医療費が安くなることはありせん。 さらに、研修医は経験も浅いことが多く、適切な診察ができるとも限りません(建前では、きちんと指導医が付いていることになっていますが、徹底した目配りができていないケースもあります)。 もし、臨床経験豊富な街のクリニックがあれば、そちらの方が確実で丁寧な医療サービスを受けられる可能性が高いといっていいでしょう。


大病院で待たされるストレスも見逃せない

大病院のマイナス面としては、いつも混んでいるため、何時間も待たされることも言えます。 具合が悪くて病院に行っているにも関わらず、長時間待たされることによりさらに具合が悪くなるケースは実際に発生していることなのです。 レストランで2時間も待たされたら確実にクレームがきますが、病院の場合はそれが当然になっています。 これを当然と思ってしまうのは、どう考えても「異常」ではないでしょうか。

このような観点からみても、まずは街の信頼できるクリニック・診療所で診てもらって、必要であれば紹介状を書いてもらって大病院にかかるという段取りは妥当なものだといえます。 日本人全員がこの段取りを心がければ、日本の医療サービスは良くなるはずです。


まとめ

今回は1人の健康のミクロ観点だけでなく、日本全体の医療サービスを良くする観点を紹介させていただきました。 本委員会の見解は以下の通りです。

病院の規模と医療サービスの質は比例しない

軽い病気や軽傷で大病院、大学病院にかかると、その裏で適切な医療サービスを受けることができない人が発生していることを認識すべきである(病気や怪我の内容に応じて適切な医療機関を受診することを心がけること)

以上、参考になれば幸いです。