健康長寿・アンチエイジング研究委員会

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泣くことで健康寿命が長くなる!?

皆さんは、「泣く」ことにマイナスのイメージを持っていませんか。 主に悲しい時や辛い時に涙が出てくるから「泣くのは恥ずかしいこと」と考えてしまいがちですが、一方で、嬉しくて涙を流すケースもある通り、必ずしも「泣く」ことは悪いことではないことだという認識もお持ちだと思います。 今回はこの「泣く」という行為の効用について考えていきたいと思います。

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そもそも涙とは?

まずは涙の役割を捉えておきましょう。 涙の役割は数多くありますが、主には以下のようなものが挙げられます。

1.目の表面にある角膜に酸素を届ける
2.目に入った異物を洗い流す
3.角膜を覆って物をはっきり見えるようする

すべてプラスの作用を持っており、涙の成分に有害物質は入っていません。



人はなぜ泣くのか

では、なぜこの涙が出てくるのでしょうか。 一番わかりやすいのは、目にゴミが入った時に眼球の生理的な反応で涙が出てくるケースです。 でも、一般的に我々が「涙が出てくる」行為としてイメージするのは「感情」を原因としたものではないでしょうか。 この感情を原因とした涙については、強い感情が脳の前頭葉を刺激すると、涙が流れてくることは分かっています。 しかし現象としての説明です。なぜ強い感情が前頭葉を刺激し、涙を出す指令を出すのかについては、現代の科学をもってしても、明確には分かっていません。 巷で言われているのはあくまでも仮説ではありますが、その中でも有力だと言われているのが、「涙を出すのは心と体の健康を守るため」というものです。


涙は体を守ってくれる

悲しかったり辛くなったりして泣いていた人が、次第に落ち着いたと思ったら、すぐに忘れたように晴れやかな顔になって、何事もなかったかのように振る舞うことに出くわすことがあります。 これに関わっているのが自立神経です。
自律神経には2種類があり、1つは緊張を高める交感神経、もう1つはリラックスををもたらす副交感神経があります。涙を流すという行為は副交感神経の働きによるものであり、言い換えると「リラックスを促す行為」になるのです。
このような背景を理解すると「泣くとすっきりする」というロジックが明確になるのではないでしょうか。


アメリカでの研究結果

涙の研究者として名高いアメリカのウィリアム・H・フレイ博士は、18歳〜75歳までの男女約300人を対象として、人が泣いた後の気分調査を行いました。
その結果、女性の85%、男性の73%が「泣いた後は気分がサッパリした」と答えました。


東京女子医大の研究結果

東京女子医大の研究グループは、10〜60歳代の男女の協力を得て、「負荷前」「暗算などの計算をする」「玉ねぎをむいて涙を流す」「悲しい映画を見て涙を流す」ごとにACTH(副腎皮質刺激ホルモン)とコンチゾール(副腎皮質ホルモン)の血中濃度の変化を調べました。
その結果、「悲しい映画を見て涙を流す」のパターンで、ACTHもコンチゾールも数値が格段に減少したのです。これが意味することは、血中に含まれるストレス物質が減少したということになります。

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涙の効果は「笑い」と似ている

以前、別の記事https://www.longhealthylife.jp/entry/2019/02/28/170000で紹介しましたが、ストレス低下という意味では、「笑うこと」と「泣くこと」は似ています。
ストレス物質が減ると「免疫力を高める」ことになりますので、泣いても笑っても免疫力は高まるのです。
この共通項を踏まえると、感情を押し殺してストレスを溜め込むよりは、日頃から感情を吐き出して泣いたり笑ったりした方が良いと言えます。


どのような手段で泣くか

本委員会としては、率先して「泣く」ことを推奨します。 辛い時に笑うことは難しくても、泣くことならできる人も多いのではないでしょうか。
また、悲しいことや辛いことがなくても、例えば、「いつも泣いてしまう映画や動画のシーンを観る」、「泣ける音楽を聴く」、「亡くなった家族・親戚・友人のことを思い出す」などをして、積極的に泣いてみるのも良いかもしれません。 泣いた後に気分が落ち着くだけでなく、免疫力まで高まるのですから。


まとめ

今回は、泣くという行為の効用について紹介しました。 本委員会の見解は以下の通りです。

「泣くこと」は「笑うこと」と同様に免疫力を高める効果があるため、悲しい時には無理に笑う必要はなく、思いきり泣けば良い

日頃から感情を溜め込まず、感情を自由に出して良い場面では率先して喜怒哀楽を表に出す方が健康長寿につながる

泣くという行為は健康長寿の観点から効果は絶大です。 以上、参考になれば幸いです。