健康長寿・アンチエイジング研究委員会

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これに気をつければ「がん」は防げる

前回まで2回にわたって「がん検診」を題材に記事を配信し、「がん検診」にたいして我々が取るべきスタンスについてヒントを示しました。
一部の方にとっては「『がん検診を受けなくても良い』とは無責任に言うな!」とお怒りの方もいたかと思います。
確かに「がん検診を受けなくても良い」と言うだけでは無責任この上ないですので、今回は「がん予防」の観点から、「(効果が疑わしい)がん検診のお世話にならないために心がけておくべきこと」について、皆さまにヒントをお示ししていきたいと思います。

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「がんになる原因」を取り除く

言うまでもなく、がん予防の鉄則は「がんになる原因を取り除くこと」に尽きます。
そこで今回は、様々な研究結果から「がんの原因」とされる行為、習慣、環境などを項目別に紹介していく方法をとりたいと思います。


1.喫煙

これまでの研究から、たばこが肺がんをはじめとするさまざまながんの原因となることが、科学的に明らかにされています。その割合については、全てのがん死亡の21%が喫煙の煙によるものと言われています。両親が喫煙する過程で12年半以上過ごした子供は、将来肺がんになる確率が、そうでない子供に比べて2倍になるというデータもあります。
喫煙は本人だけの問題ではなく、他人への影響の方が深刻です。 このようなデータに接しても、あなたはまだタバコを吸いますか、という問いに、喫煙者は真剣に向き合う必要があるのではないでしょうか。 現在たばこを吸っている人も、禁煙することによってがんになるリスクを下げることができますので、今からでも遅くはありません。


2.栄養の偏り(野菜や果物の摂取不足)

食物や栄養とがんの因果関係について各種研究が行われていますが、確実にがんのリスクになるとされている食品は少ないです。しかし、野菜・果物の摂取不足(抗酸物の不足)によってがんが21%増えるというデータもあります。
国際がん研究機関のワーキンググループでは、「野菜・果物によるがん予防効果は、必ずしも確立した関連はみられない。しかし、がんを含むあらゆる病気の予防の観点から、野菜・果物を多くと摂ることは推奨される。」と報告されていますので、がん予防だけでなく、あらゆる病気の予防という観点から栄養の偏りについて気をつけるべきと考えます。


3.塩分の摂り過ぎ

国際的にはあまり指摘されることがない項目ですが、日本人に限定すれば、がん死亡の14%程度が「塩分過多」によるものとされています。 塩分の摂り過ぎは胃がんのリスクを高めますので、減塩に努めましょう。


4.大量の飲酒

適量の飲酒は問題ないとされていますが、大量の飲酒は口腔がん、咽頭がん食道がん、大腸がん、肝臓がん、乳がんなど、多くのがんにおいてリスクを上げることが分かっています。その理由は、飲酒により吸収されたエタノールが、発がん性が示されているアセトアルデヒド代謝されるためと言われています。また、飲酒は、免疫機能を抑制することも分かっています。
言い古されている言葉ではありますが「お酒はほどほどに」を改めて肝に銘じましょう。


5.運動不足

運動は、大腸がんのリスクを確実に下げ、女性の閉経後については乳がんと子宮がんのリスクを下げるエビデンスが報告されています。運動不足はがんのリスクを高め、全がん死亡の約9%が運動不足によるものとされています。
ご自身で運動不足と認識されている方は、日頃の生活でも「エスカレーターは使わず階段を使う」などの手法で改善は可能ですので、運動不足解消に努めましょう。


6.ウイルス感染

ウイルス感染は、日本人のがんの原因の約20%を占め、全がん死亡の約9%がウイルス感染によるものと推計されています。代表例としては、B型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん、ピロリ菌による胃がんです。ウイルス感染への予防や適切な対処でがんのリスクを下げることができます。


7.体格(極度の肥満、痩せすぎ)

この項目は「栄養の偏り」と「運動不足」と関連するものですが、がん死亡のうち2.5%は極度の肥満によるものとされています。
また、日本人などのアジア人に限定した研究結果からは、痩せすぎによってがんのリスクが上がることが分かっています。この理由は「2.栄養の偏り」で述べた通りですが、栄養不足に伴う免疫機能の低下や、抗酸化物質の不足などによるものと考えられています。
体重については、神経質になりすぎる心配はありませんが、「太り過ぎ」「痩せすぎ」を自覚されている方は、改善に努めましょう。


8.化学物質(大気汚染)

空中に漂う排気ガスやスプレー噴霧などは肺がんなどの原因の約3%を占めると推測されています。国際がん研究機関は、120種類の「化学物質」や「職業」について「発がん性がある」グループとしてリスト化しています。
「職業」がリスト化されていることから分かるように、「職業柄」化学物質に接する機会が多い人のリスクが高くなっており、対象となる方々は特にがん予防に留意した方が良いでしょう(仕事を変えることはなかなか難しいと思われますので、今回紹介している他の原因を徹底して回避するなどして対処することが望まれます)。


9.医療行為として行われるX線検査の副作用

レントゲン検査やCT検査、マンモグラフィー等の医療行為によるX線の副作用によるがんは4.4%にのぼると言われており、決して無視できない数字です。
例えば、CT検査で心臓の断面を1枚撮る場合の、被ばく量は12~42ミリシーベルトと言われています。この被爆量は表面計測か、深部計測かによっても見方は色々変わってきますが、福島原発の事故後に引き上げられた限界被爆量が年間20ミリシーベルトであったことえを考えると恐ろしい数字です。たった1回のCTで制限値を軽く超える可能性がありますので、X線検査については、「心配だからあれもこれも受ける」というのではなく、必要なものに限定した方が良いと思われます。


まとめ

今回はがんの原因について紹介し、がん予防のヒントをお示ししてみました。 ご留意いただきたいのは、上記に示した原因をただ1つだけ排除したとしても、がん予防にはあまり効果がないということです。それぞれのがん要因は密接に繋がっています。
先述の通り「2.栄養の偏り」と「7.体格」は強い因果関係がありますし、因果関係はなくとも「喫煙」と「飲酒」についても「喫煙者が飲酒をすると、食道がんやがん全体の発症リスクは特に高くなる」と言われています。

したがって、がんを予防するためには、ご自身の体全体の総合プロデューサーになっていただき、トータルでプロデュースする観点が必要という認識をお持ちいただくのがよろしいかと思います。

このような観点は、がん予防に限らず、健康全般において言えることではありますが、「がん」という病気を考える際には特に重要な考え方ですので、改めて紹介させていただきました。
以上、参考になれば幸いです。